イアン・マッケイ講演会レポート

レポート


今回のイアン・マッケイ(英語発音ではほぼマッカイ)講演会は大学の学生団体Activities boardによって開催された無料一般公開のイベントです。彼らは音楽イベントの他にもこうした講演会をたくさん開催していて、来月にはGreenpeaceの創始者であるPaul Watsonや、Black Panther党唯一の女性党員、Elaine Brownの講演会も予定されています。

さて本題のイアン・マッケイ講演会ですが、200〜300人ほど入る少し大きめの物理学実験教室で時間通り午後7時半から開催されました。あんまり人が集まらないんじゃないかと余計な心配をしたりもしていたのですが、学生半分、地元のパンクス半分といった感じで時間にはほぼ満員の状態でした。特に盛大というわけでもない拍手とともに迎え入れられたイアンは、黒のパーカにカーキ色のかなり色褪せたカーゴパンツ(ちょっと丈短いw。)という出で立ちで、何の威厳もない本当にそのへんのエエおっちゃんという感じでした。本人曰く、「電話がかかってきて、講演してくれって頼まれたから来た。予定空いてたし。」とのこと。

講演は一般的な講演とは違ってこれといったトピックもなく、「みんなの考えも聞けるからインタラクティブな方がいい。」ということで与えられた2時間を全て会場からの質問に充てるというものでした。以下、代表的な質問と受け答えを憶えている範囲で。一言一句記憶しているわけではないので僕の恣意的な解釈が入る恐れが多分にありますがご了承ください。


ナイキによるマイナースレットのジャケットデザイン無断使用について。

別にビッグ・カンパニーがパンク精神を食い物にしたとかいう大袈裟な構図じゃないと思う。単にデザイナーの中にパンク好きがいたんじゃない?それだけだよ。まだデザインの使用についてお金は一銭もDiscordに支払われてないけど、ナイキが正式に謝罪したという事実は認めるよ。未だかつてそんなことはなかった。まあ、でも金は払われてないんだよね、、。奴ら会社の弁護団だけで何十人といるからね、Discordなんて一人もいないよw。


iTune等のダウンロード文化について。

いいんじゃない。別にフォーマットにはこだわらない。レコード、カセット、CDときてMP3か、、しかしカセットてのはクソだったなw。個人的にiTuneは好き。売り上げのアーティストへの配分がかなり高いんだよね。Discordのサイトでもダウンロードできるようにしたいと思ってる、これ絶対。事務的な手数料とかがほとんど必要ないだろうから価格はiTuneよりも安くなるだろうね。でも俺ら仕事遅いからなあ、、15年後くらいにはできてるんじゃないかなあw。


音楽を通して政治的なメッセージを発してきたことについて。

まず、自分が人よりも政治的だと思ったことは一度もない。政治的ってのはアクティブかそうでないかとかいうことじゃない。人が政治的でないということは有り得ないんだ。自分の国の軍隊が爆弾を落として、世界でこれだけ多くの人が死んで、何もせずに黙っている。これはかなり政治的な行いだよ。

音楽の、get togetherさせる力は素晴らしいと思う。音楽を通してみんなが集まって自分は一人じゃないってことを知って、色んなことを考えたり、表現したりできるんだ。音楽以外の集まりを通してこれだけ多くの若い人たちが社会や政治のことについて話し合う場を想像できるかい?


Evensについて

―――FUGAZI解散からEvens結成までの話など、、は割愛。―――
ただ、Evensのいいところはどこでも演奏できるってことだ。FUGAZIの時から俺はキッズにも聴いて欲しいと思って音楽を作ってきたけど、残念ながらそれは限られた機会でしかなかった。FUGAZIのようなアンプを通す音楽はたいていバーやクラブなんかのお酒を売るところでしか演奏できないからだ。今の音楽シーンはアルコール・ビジネスに取り込まれてる。でもEvensだとどこでもできるんだよ。教会でも図書館でも大学の教室でもね。いつでも呼んでよ。



他にもBad Brainsとの馬鹿話(greatest band in the worldと言ってました。)や子供のころの話(お父さんがStanford大学のfellowshipを取ったから西海岸にも少しいたという話も。案外アカデミックな家庭?)等々、2時間たっぷり話してくれました。本当に「パンク」とか「アングラ」とか気負ったところがなく、自然体で、素晴らしい人格者なんだなあということが様々な話から滲み出ていました。

きりがないので、、この辺で。